今後期待が高まる最新のX-Techを分野別に紹介

今後期待が高まる最新のX-Techを分野別に紹介

「〇〇Tech」という言葉を目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。例えば、金融業界であればFinTech、企業の人材部門であればHRTechのように、ITによってあらゆる業種における成長が期待されています。そこで今回は、〇〇Techと名のつく業種の事例を紹介するとともに、なぜ今後成長が期待されているのか、その背景を含めて詳しく解説します。

X-Techとは

X-Tech(クロステック)はさまざまな産業とITを組み合わせることで、これまでにない価値やサービスを実現するものを総称する言葉です。

従来、ITといえばIT産業に精通する業種や企業だけが扱うものとされてきました。しかし、テクノロジーの発達によってすでに一次産業や二次産業など幅広い業種にもITが活用されはじめている現状があります。

業種や産業分野によってもITの活用事例は異なり、ITという分野でひとくくりにすることは困難であるため、業種ごとに最適なITの活用ノウハウを広めていくためにも「〇〇Tech」という言葉で表現されることがあるのです。

このように、X-Techは「◯◯Tech」を総称する言葉としても使われています。

FinTech:金融×テクノロジー

金融業界におけるIT活用としては、キャッシュレス決済や送金などの分野が代表的な事例として挙げられます。

経済のグローバル化にともない、インバウンド需要が急速に拡大したことによって、一般の飲食店などでも自国通貨以外での多種多様な決済が求められるようになりました。また、現金以外の決済を導入することにより業務効率化にも貢献でき、働き方改革を推し進めるためのツールとしても定着しています。

また、ブロックチェーン技術により匿名性の高い強固なセキュリティが実現可能になったことや、オンライン上での決済や一部の実店舗における決済方法としても導入されたことによって注目を集めるようになりました。

このように、時代の変化とともに金融業界は大きく変革し、FinTechが大いに注目を集める要因となったのです。X-TechのなかでもFinTechは典型的な事例として紹介されることも多く、欠かせない分野といえるでしょう。

TravelTech:旅行×テクノロジー

旅行産業とITは直接的に結びつかないように考えられがちですが、出張や旅行の計画を立てる際には交通機関や宿泊先の予約をオンラインで行うケースも多いはずです。旅行先の見どころや観光スポットの検索はもちろん、最近では自転車や自動車などのシェアリングサービスも提供されており、快適な旅行を実現するためにさまざまなサービスがあります。

このように、旅行の本質でもある「移動」や「宿泊」についてITを活用した新たな価値を提供するのがTravelTechの特徴といえます。もちろん、インターネット黎明期から存在していたオンライン予約サイトも基本的なTravelTechに含まれ、目的地や予算に応じて最良のプランを選択するのに欠かせない存在です。

日本国内では法律の問題から実現に至っていませんが、海外ではライドシェアサービスも充実しており、旅行先で活用するユーザーも少なくありません。現在展開されているUberのように、日本でも特別な資格を持っていなくてもライドシェアサービスが展開できる日がやってくるかもしれません。

HRTech:人材×テクノロジー

従来、勤怠管理といえば会社に設置してあるタイムカードを活用するようなケースが多かったですが、最近では働き方改革の推進によってクラウド上で管理できる専用のツールが台頭してきています。勤怠管理だけではなく、社員や組織などの人事情報をクラウドで管理できるサービスも多く、人事や総務部門の人材不足に悩む中小企業からの需要が急速に拡大しているのです。

HRTechを導入すれば、毎月社員の労働時間を集計し給与に反映させていた業務や、Excelでの目標管理や評価管理からも解放されることになります。また、どの部署に誰が所属しているのか、担当者は誰なのかといった名簿もクラウド上で公開できるため効率的であり、また社員同士の自発的な交流促進にもつながります。

加えて、昨今の新型コロナウイルスの影響によってテレワークを推進する企業も増えてきていますが、物理的に離れた場所で働く際にもHRTechの技術は欠かせないものです。

働き方改革とテクノロジーの発達によって、これまでとは比較にならないほど柔軟で革新的な労務環境が実現できると期待されています。

FoodTech:食品×テクノロジー

私たちの生活において直接的かつ日常的に関わってくる可能性が高いのが、FoodTechの分野です。世界的な食糧危機が到来する可能性が指摘されているなかで、従来の発想にとらわれない新たなアイデアのもとで食品を生産したり、流通しようとする考えが広まっています。

具体例を挙げるとすれば、複数の食材を組み合わせて作られた完全栄養食、野菜や穀物類などを活用して肉の食感と味を再現した代替肉、コオロギやバッタなどの昆虫または微生物などを生地に練り込んで作るお菓子などがあります。また、ペースト状の素材から3Dプリンタを使ってクッキーやピザを成形するような技術も登場してきています。

食品業界のこれまでの歴史を見てみると、インスタント麺の開発やフリーズドライ製法の確立など、さまざまな技術をもとに進化し続けてきました。これらもFoodTechのひとつと考えることもでき、今後さらにこのような取り組みは加速していくものと考えられます。

MedTech:医療×テクノロジー

新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり、2020年4月に厚生労働省は異例の早さで遠隔診療に対応することを決めました。特例的な対応とはいえ、初診であっても遠隔診療に対応したことによって外来患者を一定数まで抑制し、致命的な医療崩壊を防ぐことに貢献しています。

今回のような事態が再び発生する可能性も否定できず、さらには慢性的に医師が不足していることも鑑みると、今後ますます遠隔診療は拡大していくと考えられるでしょう。

現在の遠隔診療はインターネット回線から患者の様子を確認し、コミュニケーションを取りながら進める方法が一般的ですが、5GやIoT、AIが今後本格的に普及していくと高度な診断も可能になります。超高画質な映像データによって、まるで肉眼で見ているかのようなリアリティのある映像が確認でき、医療サービスの質も向上していくはずです。

現在の日本において、主に地方が抱えている医療格差という問題もMedTechによって解消されていくのではないかと期待されています。

物流Tech:物流×テクノロジー

流通×テクノロジーの「RetailTech」の一部として語られることもある、物流テック。倉庫内の作業からトラックの自動運転、運行管理まで多岐にわたる用途に活用されます。特に広大な倉庫内で行われるピッキング作業や在庫管理などの作業は、作業員にとって大きな負担となっており、そのために莫大な人件費もかかっています。

これらの作業をロボットやドローンなどを活用して効率化するとともに、トラックなどの輸送ではAIやIoTを活用した自動運転が実現されることによって、人間によって行われる作業は大幅に軽減されると考えられています。荷物のピッキングからトラックへの積載、さらに送り先への配送までをオートメーション化するためにはもう少し時間がかかりそうですが、工程ごとに研究が進められています。

X-Techを自社のビジネスに活かすために

最新のテクノロジーはさまざまな業界に浸透し、課題解決や成長の起爆剤として期待されています。今回紹介してきた事例はあくまでも一例であり、これ以外にもあらゆる分野でテクノロジーと産業の融合は研究が進んでいるのです。企業のなかには「AIやIoTなどのテクノロジーを活用して新たな事業を展開できないか」と考えているところも少なくありません。しかし、ITをはじめとしたテクノロジーはノウハウがなく、具体的に何から始めればよいのか分からないというケースも多いことでしょう。まずは自社が身を置く業界にマッチしたX-Techの具体的な事例がないか、探すところから始めてみるのもよいかもしれません。

参考:

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