リモートワークだけではない「働き方改革」 社員にとっての働き方は?

リモートワークだけではない「働き方改革」 社員にとっての働き方は?

新型コロナウイルスの感染拡大を抑制するため、多くの企業でリモートワーク(テレワーク)が導入されたこともあり、この1年で働き方改革が大幅に進んだように見えます。

しかし、リモートワーク以外にも働き方改革に求められる要素や施策は多く、社員にとって働きやすい環境を整えなければなりません。そもそも社員にとって働きやすい環境とはどのようなものなのでしょうか。

今回の記事では、社員の立場から働き方改革について考えるとともに、最新の人事施策の事例もあわせて解説します。

あらためて「働き方改革」の目的を確認

働き方改革の定義および目的は、企業や経営者、労働者などの違いによって認識が異なる場合があります。そもそも働き方改革の前提にあるのは、少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少と、育児や介護との両立などによって働き方が多様化していることです。厚生労働省は2019年、このような前提のうえで、働き方改革を以下のように定義しました。

「働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く方一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指す」

今後、少子高齢化に伴い労働者の絶対数が減少する見込みがあるなかで、これまでと同じ働き方をしていると労働力が不足し、企業の生産性が大幅に低下するのは当然のことといえるでしょう。中長期的な目線に立ち、企業が今後も持続的に成長し続けていくためには、社員一人ひとりが無理なく働き続けられるような仕組みの構築が求められ、それこそが働き方改革の最大の目的なのです。

社員にとっての働きやすさとは何か?

では、社員が無理なく働き続けられる会社とは、具体的にどのような会社なのでしょうか。給与や賞与が高いからといって、必ずしも社員にとって働きやすい職場とはいえない場合もあります。働きやすい会社と一口にいってもさまざまなパターンが考えられますが、今回は代表的な要素を4つピックアップしてみました。

人間関係

仕事上の悩みを気軽に相談できる人がいたり、困ったときに社員同士が助け合う文化や雰囲気が醸成されていたりするなど、良好な人間関係が構築されていることは働きやすさを考えるうえで重要な要素といえるでしょう。

人間関係に問題がある職場では、社員が一人で問題を抱え込んでしまい、解決策を見いだせないまま業務が停滞してしまうことも考えられます。社員同士の人間関係はあくまでも個人の問題であると考える経営者も少なくありませんが、実際には業務に影響を与えたり生産性に直結したりするケースもあるのです。

休暇が取得しやすい

休暇の取得がしやすいことも働きやすさを左右する重要な要素といえます。有給休暇を申請すればすぐに承認してくれることはもちろんですが、多くの社員が休暇を取得している環境を作ることも大切です。

働き方改革に取り組む企業が増えた結果、有給休暇の申請を認めないケースは徐々に減ってきています。その一方で、職場自体が休暇を気軽に取得できる雰囲気ではなかったり、有給休暇の取得理由について上司にしつこく問い詰められたりするなどの問題を抱えている企業も存在します。

正当な人事評価

仕事で一定の成果を出しているものの、評価する側の上司や経営層などが、社員に対する個人的感情によって恣意的に評価を操作しているケースもあります。社員にとっては「成果を出しても正当な評価を受けられない」と感じ、仕事に対するモチベーション低下につながることでしょう。働きやすい会社にするためには評価方法を見直し、評価を行う側が個人的な感情に左右されることなく、正当に評価できる仕組みを構築しなければなりません。

人材教育

先輩社員や上司が業務の進め方を丁寧に教えてくれることはもちろんですが、さまざまな業務に挑戦させ成長を促すことも人材教育につながり、働きやすい会社を実現するうえで不可欠な要素といえます。

また、これは人間関係にも直結することですが、困ったときに気軽に相談できアドバイスを受けられる上司や先輩社員がいることや、上司や先輩社員に対して気軽に相談できる雰囲気を作ることも重要な要素といえるでしょう。

働き方改革で注目される人事施策の最新事例

長時間労働の削減や有給休暇の取得促進など、働き方改革の定番ともいえる施策は多くの企業で導入が進んでいます。これらに加えて、さらに一歩前進した働き方改革に取り組む企業も存在します。働き方改革につながる最新の人事施策としてどのようなものがあるのか、3つの事例をもとに紹介しましょう。

副業(複業)

事前の申請をすることにより、副業(または複業)を認める企業が増えています。従来は社員の肉体的疲労や情報漏えいなどを懸念し、副業を禁止している企業が大半でした。しかし、現在では社員自身のスキルやキャリアの幅を広げるために副業は有効な手段であると認識されはじめ、就業規則や人事規程から副業禁止の項目を削除し、一定の条件下で認めるケースが増えてきました。

企業にとっては、社員が副業によって得た知識やスキルを本業に活かすことができ、新規事業の創出や業務効率化によって生産性の向上が見込めます。また、自社の人材教育だけでは習得が難しいスキルや知識も、副業を解禁することによって得られる可能性があるのです。

社員にとっては、現在よりも収入アップが見込めるほか、本業とは異なる仕事を経験することによって、自社で働くことのメリットや魅力を再認識する機会にもつながるはずです。

週休3日制

2021年4月、政府は働き方改革の一環として「選択的週休3日制」の普及に向けて議論をスタートさせました。勤務日数が減少するということは、生産性が低下する懸念が考えられますが、あえて週休3日制にすることで限られた時間を有効に活用しようと意識付けられ、生産性向上の効果が期待できるという意見もあります。

また、介護や育児と仕事を両立する社員にとっては肉体的負担が緩和され、離職防止にもつながるでしょう。

サテライトオフィス・テレワーク

従来のオフィスワークといえば、毎日会社へ出勤しオフィスで業務を行うといった働き方が一般的でした。しかし、自宅やサテライトオフィスなど、オフィス以外の場所で業務を行うことで、通勤時間の削減につながり社員は有効に時間を活用できます。

サテライトオフィスやテレワークは、企業にとっても交通費などのコスト削減につながりメリットの大きい施策といえるでしょう。

一方で、オフィス以外での業務は普段の働き方が見えにくい分、働きぶりや仕事に対する姿勢といった定性的なものよりも、定量的な成果を評価基準として考える必要があります。これにより、「結果を残しているのに評価されていない」といった人事評価の問題がクリアされ、社員にとって働きやすい環境となるでしょう。

社員目線での働き方改革を実現し企業の成長につなげる

少子高齢化が進み社会構造が大きく変化しているなかで、労働者の価値観やライフスタイルも着実に変化してきています。働き方改革は業務効率化を実現し生産性を向上させるといった企業側のメリットだけではなく、社員にとって働きやすい環境を構築するという視点が何よりも重要といえます。これまで当たり前とされてきた働き方も、時代とともに今後さらに変化していく可能性があります。時代の変化に対応し、自社で働く社員にとって働きやすい環境を常に考え、構築していきましょう。

 

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