働き方改革で注目されるワークライフバランス メリットや事例をご紹介

働き方改革の実現に向けて「ワークライフバランスの充実」という言葉がたびたび登場します。なんとなくその言葉の意味はわかっていても、具体的にどのような姿を指す言葉なのか漠然としてわかりづらいという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで今回は、ワークライフバランスとは具体的にどのような意味なのか、実際にワークライフバランスの充実が定着している企業の事例なども踏まえて解説します。また、ワークライフバランスを定着させるために必要なポイントもいくつかご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

ワークライフバランスとは?

ずばりワークライフバランスとは、私生活と仕事のバランスを取りながら多様な生き方を実現していくという考え方を指す言葉です。

ワークライフバランスという言葉を聞くと、子育てと仕事の両立や、女性の働き方について語られることも多いのですが、実際は性別や年代を問わずすべての労働者が対象となります。男性の育児休暇取得率も徐々に向上しているなかで、それぞれの世代や性別にとって働きやすい環境を整えていくことが重要といえます。

これまでの日本企業では私生活を犠牲にして仕事に身を捧げ、滅私奉公の精神で尽くす姿を良しとしてきた風潮がありましたが、昨今の働き方改革によってそのような考え方はもはや過去のものになりつつあります。家族との時間を大切にし、仕事とプライベートを両立しながら充実した生活を送ることが現代に合った新しい働き方とされています。

人生100年時代と言われている今、60歳で定年を迎えてその後悠々自適な老後を送るというケースは極めて稀でしょう。長い人生だからこそ、短いスパンで考えるのではなく、より長く無理なく働けるような考え方や価値観が重要視されつつあります。

ワークライフバランスが定着することのメリット

ワークライフバランスが定着することによって、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。ワークライフバランスは従業員にのみメリットがあるものと考えられがちですが、実は企業にとってもメリットがあります。それぞれの立場から考えてみましょう。

従業員のメリット

ワークライフバランスが従業員にもたらすメリットとしては、やはりプライベートと仕事にメリハリが生まれることが挙げられます。その結果、家族と過ごす時間が増えたり、自分の趣味や副業、仲間同士での楽しい時間などに使ったりと、仕事以外でも充実感を得られるようになります。プライベートが充実すると、仕事に対しての集中力や士気向上にもつながります。

また、仕事では経験できなかったことや、本当にやりたいことがある場合は、副業として取り組むことも可能になります。副業は経済的なメリットがあるだけではなく、自身のスキルアップにも役立ち、仕事の内容によって本業に活かすこともできるでしょう。

企業のメリット

次に、企業側から見たワークライフバランスのメリットを考えてみましょう。

まず、企業がワークライフバランスの充実に向けた取り組みを行うことで、働き方改革に積極的な会社として企業イメージのアップにつながります。人員的余裕がなく、ワークライフバランスの充実に対して積極的ではない企業もまだまだ多いなか、率先して従業員を大切にする姿勢を打ち出し、具体的な施策を実施するだけで企業として高い評価を得られるはずです。

昨今の求人市場では圧倒的な売り手市場であり、一般的な待遇の会社は人材が集まってこない傾向にあります。求職者の中には、給与といった待遇面だけでなく、ワークライフバランスを重視している人もいます。企業にとってワークライフバランスの充実は、慢性的な人手不足を解消するために有効な施策であると同時に、現在自社で働いている労働者の退職を防ぐことにもつながります。

ワークライフバランスを実現している企業の事例

ここからは、ワークライフバランスの充実を実現している企業の事例をいくつかご紹介します。自社で実施する場合のヒントも隠されているため、ぜひ参考にしてみてください。

株式会社サイボウズ

株式会社サイボウズは東証一部上場のグループウェア開発会社です。数ある企業のなかでもいち早く働き方改革に乗り出し、さまざまな人事施策を打ち出しています。

特にワークライフバランスの充実に向けて実施している在宅勤務制度は、育児・介護休暇の定着に結びついています。もともとサイボウズという会社は離職率が28%という過酷な労働環境だったのですが、そこから180度方針転換を実施しました。従業員にとって働きやすい環境を徹底的に考え抜いた結果、離職率は4%へ低下させることに成功したのです。

ソフトバンク株式会社

通信事業大手のソフトバンク株式会社も、サイボウズと並んで働き方改革に積極的な会社として知られています。先進的なテクノロジーを積極的に活用している会社であり、なかでも象徴的なのはAI・IoT・RPAといったテクノロジーに関する社内事例発表会を開催していることです。これらを活用した業務効率化の事例を、社内に横展開しています。また、出社時間や退社時間を自由に決められるスーパーフレックスタイム制の採用や、在宅勤務制度なども拡充して誰もが働きやすい環境を整備しています。

旭化成株式会社

大手化学メーカーの旭化成株式会社では、若手男性社員を中心として男性社員の育児休暇の取得に向けて解決策を検討しました。これによって同社の育児休暇制度が見直されることとなり、男性社員の約40%が育児休暇を取得するようになりました。

内閣府の調査によると、男性の育児休暇取得率は2017年度で5.14%です。取得率が年々向上してきているとはいえ、女性の83.2%という数字に比べると圧倒的な差があるのは事実です。このように比較してみると、旭化成における男性の育児休暇取得率は革新的な取り組みといえるでしょう。

ワークライフバランス定着のために必要なこと

ワークライフバランスの重要性を認識していても、「何から手をつけてよいかわからない」「生産性の低下が懸念される」「残業が減ると従業員の給与が減ってしまう」といった理由により、ワークライフバランスが定着していないという企業の方もいらっしゃるでしょう。このような問題については、どのように対処すればよいのでしょうか。

「何から手をつけてよいかわからない」という場合は、まずは業務内容を見直してみましょう。どんな仕事にも改善できる余地が残っていることが多いものです。業務内容を徹底的に見直し、業務効率化を図っていくことがワークライフバランス定着のための基本であり、もっとも重要なポイントといえます。

「生産性の低下が懸念される」という点については、システムやツールの導入などを検討すると良いでしょう。ワークライフバランスが定着すると労働時間が短くなりますが、業務の効率化やシステムの導入などを行わなければ、生産性が低下します。人が行っていた業務を、できるだけシステムやツールで対応できるようにしていくことが大切です。

「残業が減ると従業員の給与が減ってしまう」ということについては、人事評価制度の変更を検討しましょう。「残業をした従業員が多くの給与を得られる」のではなく、短時間で成果を上げる従業員の評価が高まるようにすることが必要です。ただし、人事評価制度を大幅に変更すると従業員が不満を持つ場合もありますので、従業員に丁寧に説明しながら、制度の変更を進めていきましょう。

働き方改革の推進とワークライフバランスの定着

今回ご紹介してきたように、ワークライフバランスは企業にとっても従業員にとってもメリットがあります。具体例として挙げた3つの企業のように、今後働き方改革が多くの企業で進んでいくと、ワークライフバランスもそれに比例して定着していくのではないでしょうか。

参考:

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