RPAの費用対効果はどのように算出する?導入前に押さえておくべき考え方

RPAの費用対効果はどのように算出する?導入前に押さえておくべき考え方

バックオフィス業務のDX実現に効果的なツールとしてRPAがあります。RPAに限ったことではありませんが、システムを導入する際にはどの程度の費用対効果が見込めるのかを検証することは不可欠です。しかし、そもそもRPAの費用対効果とはどのような考え方で算出すべきなのでしょうか。

今回の記事では、RPAの導入前に押さえておきたい、費用対効果の考え方や算出方法について詳しく解説します。

RPA導入の目的

RPAの費用対効果を算出するためには、そもそもなぜRPAを導入するのか、明確な目的を定めておくことが大前提です。

例えば、「バックオフィス業務の人手不足を解消したい」「新規事業へ人的リソースを配分するため、定型的な業務を自動化したい」など、企業や組織によっても目的はさまざまでしょう。しかし、これらを突き詰めて考えると「定型的な業務をロボットに任せて効率化し、生産性向上やコスト削減を図ること」がRPAを導入する主な目的といえます。

そこで、RPAの導入にあたっては、生産性やコストに関する指標を中心に費用対効果を考えることがベースとなります。ちなみに、RPAの導入による生産性向上については、以下の記事でも詳しく解説しているため参考にしてみてください。

効率化とは違う?今こそ理解したい生産性向上のいろは - RPA導入で働き方を変革 Digital Labor Labo(デジタルレイバーラボ)

定量的効果と定性的効果

そもそも費用対効果を測るうえで押さえておきたいポイントとしては、定量的効果と定性的効果の2種類があることです。これらの違いを明確にしておかないと、正確な費用対効果を算出できなくなるため、前提として覚えておきましょう。

定量的効果とは

定量的効果とは、数値として表すことができるものを指し、一例としては以下のようなものが挙げられます。

  • 定型的な業務をRPAに置き換えたことで削減された人件費
  • 処理能力の向上により増加した1日あたりの処理件数
  • 作業の正確性向上によるミスの削減数、それによる手戻り作業の減少数

 

定量的効果のデータは、費用対効果を算出するために不可欠な情報です。例えば、「バックオフィス業務の人手不足を解消したい」という目的のためにRPAを導入する際には、「定型的な業務をRPAに置き換えたことで削減された人件費」を計測することで費用対効果が算出できるでしょう。

重要なのは、RPAの導入によって解決したい課題や目的に合わせて定量的データを収集することです。

定性的効果とは

定性的効果とは、数値として表すことが難しいものを指し、一例としては以下のようなものが挙げられます。

  • 労働環境の改善、社員のモチベーション向上など
  • 先進的な企業イメージの定着

数値化が難しい定性的効果は、費用対効果の直接的な算出根拠にはなりません。しかし、定性的効果を無視することはできないのも事実であり、費用対効果を総合的に判断するために不可欠な情報です。

RPA導入の費用対効果の算出方法

そもそも費用対効果とは、投資金額に対してどの程度の効果(利益)があったのかを算出し把握することを指します。具体的にどのような方法で費用対効果を算出するのか、詳しく解説しましょう。

RPA導入による費用対効果の考え方

RPA導入における費用対効果を算出する際には、「投資金額」と「効果(利益)」を以下のように定義して考えます。

  • 投資金額=RPAの初期費用、毎月の利用料金、保守・メンテナンス費用、RPAの運用にかかる人件費 など
  • 効果(利益)=削減された人件費、生産性の上昇分 など

例えば、RPAの初期費用や利用料金などを含む投資金額が年間で2,000万円相当かかったものの、3,000万円相当の人件費が削減された場合には十分な費用対効果があったと判断できるでしょう。また、コストの削減分だけではなく、定型的な業務から解放された結果、新規事業や定性的な業務への人的リソースを配分できた場合にも、効果として算出することができます。

人件費の算出方法

では、RPA導入の費用対効果を算出するうえで、「効果(利益)」の部分は具体的にどのように計算すればよいのでしょうか。人件費や生産性、コストなど、さまざまな指標がありますが、RPAを導入する前の段階で人件費の削減目安を予測する場合には、以下のように算出します。

  • 人件費の削減目安=1件あたりの作業時間×1ヶ月の平均作業件数×作業担当者の時給

上記の「作業時間」や「平均作業件数」とは、現在担当者が行っている業務の実績から算出します。

生産性の算出方法

RPAの導入によってどの程度の生産性向上が期待できるかを予測するためには、以下のように算出します。

  • 期待される生産性=RPAによる1時間あたりの作業件数-作業員による1時間あたりの作業件数

上記のうち、「作業員による1時間あたりの作業件数」は算出が容易ですが、「RPAによる1時間あたりの作業件数」は導入前の段階で算出が難しいと考える方も多いでしょう。しかし、RPAのなかには導入前に無料トライアルを提供している事業者もあり、一定期間にわたって試験的に導入することが可能です。

定性的効果も加味し最終的な費用対効果を判断

上記で挙げた費用対効果の算出方法は、あくまでも定量的な効果を判断するためのものです。しかし、すでに触れたように、数字として表すことができない定性的な効果も存在します。

例えば、定型的な事務作業のなかには、従業員の給与計算や経費精算、取引先への入金処理など、ミスが許されない業務もあるでしょう。業務に関する明確な手順やルーチンが決まっているとはいえ、そのような環境下では仕事の重圧が積み重なり、従業員に対する精神的な負担も増大します。

そこで、ミスの許されない定型的な業務をRPAに置き換えることで、正確性が担保され人為的なミスを防げるほか、それまで業務を担当していた従業員は精神的な重圧から解放されます。

そして、従来の仕事の代わりに、新規事業の企画や業務プロセス改善の立案など、RPAでは解決が難しいクリエイティブな仕事に従事できるようになるでしょう。ロボットのような同じ作業の繰り返しが求められる業務は、ミスをしないことが当たり前ととらえられがちで、「頑張っているのに評価されない」と感じる従業員も少なくありません。しかし、人間にしかできないクリエイティブな業務のほうがやりがいを感じられ、革新的なアイデアや優秀な成果を挙げることで高い評価も得られるようになります。

RPAの導入によって、仮に定量的な効果は小さかったとしても、定性的な効果が大きい場合には十分な費用対効果が得られたと判断できるでしょう。

費用対効果を十分に検証しRPAを導入しよう

現状の業務フローで通常業務は十分回っており、人手も確保できている場合であっても、現場で働く従業員には大きな負担がかかっているケースも少なくありません。RPAを導入することで、従業員の負担が減ると同時に満足度が高まり、今以上に生産性の向上やコスト削減が実現できる可能性もあるでしょう。

RPAの導入にあたっては、どの程度の費用対効果が見込めるかの検証および判断が難しいところです。また、費用対効果は数値的に判断しやすい定量的効果にばかり目が行きがちですが、数値化が難しい定性的効果についても検証しながら、最終的な判断を行うことが重要です。

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