RPAフリーソフト、無料で使うことの制約って?

最近話題にのぼることの多いRPAツールですが、一般的なソフトウェア製品ということで基本的には費用がかかるものです。一部ではフリーソフト、つまり無料で使用できるものがあったり、無料で使えるトライアル版が用意されている製品があったりするので、なかには無料版でよいのではないか?と考える方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、RPAツールの無料版をメインに利用することを選択したときに、どのような不安やデメリットがあるのかをまとめました。

RPAを選ぶときに考慮すべき観点

会社全体や部署の取り組みなどで、RPA導入が奨励されることも多いでしょう。しかしいざ導入しようとすると、さまざまな種類のパッケージがあり、どれを選んだらいいか検討するのもひと苦労です。そこでまずはRPAツールを選ぶ際に、考慮すべき観点についてご紹介します。

デスクトップ型とサーバー型

RPAツールは管理の仕方や実行する環境の差異によって、大きく2つの種類に分けられます。担当者個人が使用しているPCに導入し、そのPC内での作業を自動化することができるのがデスクトップ型です。対して、主にIT管理者が一元管理する中央サーバーに導入し、社内外で連携しながら自動化を進めることができるのがサーバー型です。もちろん機能が多岐に渡っていればその分費用も、導入にかかる時間も大きくなります。逆に横断的な改善を行おうとしている場合は、個々のPCでツールを動作させていても大きな改善効果は得られないかもしれません。どんな業務を自動化したいのか、要件を見極めて検討する必要があります。

無料版と有料版

もちろん費用面での分類ができます。大まかに分けてフリーソフトといわれる無料版、そしてライセンスごとに年単位で使用料を支払う有料版です。無料で使えるならそれに越したことはない、と思われるかもしれません。しかし実際には、無料版には制約が多々存在するため、導入までの時間だけがかかってしまい、結果として「RPA導入は失敗だった」となりかねません。こちらもまた、必要な機能を見定めて、検討を進めていきましょう。

セキュリティ要件や使用用途などの個別ニーズ

世の中には多数のRPAツールが存在しますが、それらは一律に同じ機能を提供するわけではありません。なかには用途や要件に特化した製品もあります。例えばセキュリティ要件の厳しい業務に導入する場合には、PCI-DSS規格(※1)やSOX法(※2)などに準拠した、高セキュリティを強みにしているRPAツールを選択することもできます。システムに不慣れな担当者が利用することになるのであれば、直感的な操作が可能なUIを強みにしたツールを導入することで、導入のハードルが下げられるでしょう。Excel操作は可能だが、ブラウザ操作はできないというような、対応可能なアプリケーションが限られている場合もあるので、要件と照らし合わせて確認する必要があります。
(※1)Payment Card Industry Data Security Standard(ペイメントカード業界データセキュリティ基準)。クレジットカード会員の情報を保護することを目的に定められた、クレジットカード業界の情報セキュリティ基準のこと。
(※2)Sarbanes‐Oxley act(サーベンス・オクスリー法の略)。上場企業会計改革および投資家保護法のこと。

RPAフリーソフトと無料であるがゆえの制約

前述のように、RPAツールにはフリーソフトと呼ばれる無料で使用できるものがあります。無料である一方で、その分制約が生じます。具体的にどのような制約があるのでしょうか。実際に職場へ導入することを考え、必要な条件とそうでない条件、かけられるコストなどを天秤にかけてみましょう。制約として考えられるのは、以下のようなことです。

無料で使用できる期間が決まっている

使用開始後30日間や60日間など決められた日数のみ無料で使用することができ、その後も継続して利用したい場合は有料版として料金を支払う必要があるというものです。なかには、無料版と有料版の両方を持っており、初めの30日間は有料版の内容を無料で使用できる、その後はお金を払って有料版を使い続けるか、機能やサポートが落ちる無料版に切り替えるかを選択する、というサービスもあるようです。

特定の団体しか無料で使えない

無料で使用できる組織が限られているツールもあります。例えば非営利団体や教育機関、研究機関などでは無料で使用できるというものや、小規模の事業者については無料で使用できるものなどがあります。資金力のある大規模企業は、利用料金を支払う必要があるということです。

受けられるサポートが限られている

無料版と有料版の両方を持つ製品では、2者の間で機能やサポート面で差をつけているものがあります。例えばある製品では、有料版であれば日本語でのサポートが受けられ、無料版では受けられないという差がつけられています。どうしても、新しい製品を導入するうえで問題が生じたり、運用していくうえでうまく動かなくなったりすることはあります。そのとき、自力で調べたり問い合わせをしたりして解決できるメンバーばかりではありません。製品機能自体だけでなく、サポートの有無や範囲も考慮に加えるといいでしょう。

日本語で利用できない

海外の製品であれば、無料版だと日本語で使用できない、という場合があります。サポートの件と同様、メンバーのスキルにもよりますが、言語が違うことでツール導入に抵抗を覚えてしまう場合は、有料にしてでも日本語版を導入し業務効率化を図る方が賢明でしょう。

お試し期間を経て有料版に移行する

無料で使えるので一見魅力的なRPAフリーソフトですが、実際には制約も多いということが分かりました。しかし無料版があるのに初めから有料版に踏み切るのは難しい、という職場もあるかもしれません。ひとつの打ち手として、お試し期間を経て有料版に移行するという方策もあります。

トライアル版で動作環境を確認することも可能

先にご紹介したように、数ある製品のなかには初めの30日や60日間、無料でトライアルすることができる製品があります。無料版と銘打ってはいなくても、トライアル版としてライセンスを貸し出してもらえる場合もあります。まずはトライアル版を導入し、本当に職場の環境で動作するかという確認や、実際にどの程度の業務効率の改善効果が見られるのかという効果検証を行ってみましょう。トライアル版を利用していく間に、職場のメンバーもツールに慣れてくるかもしれません。導入前には思い浮かばなかった、意外な役立て方が見つかることもあるでしょう。

効果が見えたら有料版に切り替える

無事にトライアル版で効果が出てきたら、その成果をもって有料版購入の検討をすることもできます。現行でかかっている人件費と比較すれば、たとえ有料版といえども必要な出費だということを理解してもらえるかもしれません。

RPAは効果的な投資だ、と理解してもらおう

無料で使える、というのは一見魅力的であるものの、実際には機能が制限されていたり、サポートが限られていたりするため、実際に職場で使い続けることを考えると難しい面もあります。トライアル版を使ってみて実績を作り、有料版を購入する足掛かりとすることも、戦略のひとつとして考えられるでしょう。人件費は企業活動でかかる費用のなかでも、特に大きなものです。また働き方改革の推進が叫ばれる昨今、自動化ツールを導入し業務効率化を図ることで、労働時間を削減し労務費も削減することは多くの企業で求められています。RPAツールの導入は「投資」と理解してもらい、企業内でうまく使いこなしていきましょう。

参考:

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