RPAの導入に失敗してしまう理由と成功に導くための対策

ソフトウェア型ロボットを活用して業務の効率化を行うRPAは、これまでなかったツールということもあり、導入に成功すれば企業に大きな成果をもたらします。しかし、海外と違って日本ではまだ参考になるような成功事例も多くないことから、手探りでチャレンジはしてみたものの失敗してしまうケースも少なくないようです。そこで今回はRPA導入に失敗してしまう原因を探りながら、どうすれば大きな効果を生み出すことができるのか、その対策について考えていきます。

少しずつ導入が進むRPAの現状

日本におけるRPAは、海外に比べ普及が遅れているとはいえ、導入企業は増える傾向にあります。MM総研が2019年2月に発表した「RPA国内利用動向調査(2019年1月調査)」では、2018年6月と比較して導入済み企業は22%から32%にアップ。未導入企業は46%から31%に減少と、少しずつではあるものの着実に導入企業が増えていることがわかります。

また、矢野経済研究所が2019年2月に発表した「RPA市場規模推移・予測」によると、2018年度のRPA市場予測は前年度から134.8%増えた418億円。そして、3年後の2022年には2018年度から見て約2倍の802億円と予測されています。この結果からこれからもRPAを導入する企業は増え続けていくといえるでしょう。

RPA導入に失敗してしまう3つの理由

現在、日本でも普及の兆しを見せているRPA。先の予測からも、今後は効果的な活用によって大きな成果を上げる企業が増えていくことでしょう。しかし、他のツール同様、RPAも導入さえすれば必ず成果を上げられるわけではありません。実際、前述したMM総研の調査で、RPA導入に対する満足度において、37%が「どちらとも言えない」、4%が「不満」と回答しています。ではなぜ41%もの企業がRPA導入で満足のいく結果を得ていないのでしょうか。その主な理由としては次の3点が考えられます。

1.   RPAに対して過度な期待を持ってしまう

「海外ではかなり普及している」、「ホワイトカラーの業務を効率化するこれまでにはないツール」といった情報にとらわれすぎてしまうケースです。斬新なソリューションである、というあいまいな理解で過度な期待を持って導入したものの、実際に使ってみたら思ったような効果が出なかったという失敗例は少なくありません。

当然ながらRPAは万能のツールではなく、得手不得手があります。RPAが得意とする業務は、主に「決まった手順でのデータ登録」「Web上でのデータ収集」「複数のアプリケーションを連携した作業」などです。この特徴を知らずに、何でもできるだろうといった憶測だけで導入してしまうのは非常に危険といえます。

また、基本的にRPAはソフトウェア型のロボットであるため、自分で判断して業務を行うといったことはなく、まずは仕事を覚えさせなければ思ったように動きません。そして、業務内容に変更があればその都度反映が必要です。変更を反映させない場合、誤作動を起こす可能性もあります。こうした基本的な機能や手順を理解したうえで導入することが重要です。

2.   自社の課題、問題点を把握せずに導入してしまう

業務効率化が進まないということは、必ずどこかに業務が滞る原因があります。この原因を把握しないままにRPAを導入しても、あまり効果は期待できないでしょう。RPAを導入すれば自社の業務プロセスそのものが変革できるというものではありません。導入による成果を上げるためには、自社の問題点や課題をあらかじめ把握する必要があるのです。

また、ひと口にRPAといっても現在、多くの企業から多数のツールが販売されています。そしてツールによって得意とする業務が異なる場合もあるため、業務が非効率になっている問題を解決するのに最適なツールを選択しなくてはなりません。腹痛で病院に行ったにもかかわらず、頭痛薬をもらっても役に立たないのと同じように、RPAであれば何でも構わないといった考えで導入すれば、成果を上げることは難しいでしょう。

3. 少し使って効果が出ないとすぐに失敗だと判断してしまう

すでに述べたようにRPAにも得手不得手があることや、ツールの種類もさまざまなため、RPAをこれから導入しようという企業がいきなり大規模プロジェクトでRPAを実践するのは危険です。そのため、スモールスタートをさせることがポイントですが、それと同時に中長期的な視点で活用することが重要といえます。RPAに限った話ではありませんが、どんなに綿密な運用計画を立てたうえで導入したとしても、すぐに結果が出るツールは多くありません。短期間の運用で失敗と判断するのではなく、まずはスモールスタートでPDCAを回しながら、結果を見て少しずつ運用の場を広げていくことが求められます。

RPA導入を成功させるための対策

前項でのRPA導入に失敗してしまう理由を踏まえ、どうすればRPA導入で成果を上げることができるのか、その対策について考えていきましょう。

  • コスト削減を目的とするのではなく、業務効率化を目的とすること

RPAを導入する目的のひとつはホワイトカラーの業務効率化です。しかし、新しいツールの導入にあたっては、コスト削減や売上増のように成果としてわかりやすい数字を求めることもあるでしょう。もちろん、目に見える数字を上げることは重要であり、コスト削減や売上増をRPA導入の目的とすることも間違いではありません。ただし、そればかりに目がいってしまうと、RPAの機能を最大限活用できなくなってしまう可能性もあります。

RPAが果たすことは自社業務の非効率部分の解決であり、その点を中心に活用を考えることが大切です。逆にいえば、業務効率化の結果としてコスト削減や売上増が達成されるのであって、一足飛びの実現は難しいものです。そういった意味でも、RPAの導入においては、まずは自社業務の見直しや課題の洗い出しを最優先に考えるようにしましょう。

  • RPAの特徴をつかみ、適切な活用をすること

RPAを導入する前に自社の問題点や課題を明確にすることは重要ですが、それと同時にRPAの特徴、得意なことと不得意なことを知ることも欠かせません。RPAの得意な業務がどういったものなのかを知れば、自社での適切な使い方が具体的に見えてきます。

また、RPAは継続的に改良を重ねていくことでその効果が拡大していくツールです。そのため、現在は最適な活用をしていたとしても、何の改良もしなければ1年後、2年後には同様の成果を上げられないという可能性もあります。そこで、業務内容に変更があった時には迅速に対応できる体制を整えておくことも重要です。自社内で改良を行える人材を育成する、いつでも外部に依頼できるようにするなど、いざという時のことも事前にルール化しておくことで、RPAの力を最大限に活用することが可能になります。

過度な期待をせず、自社の現状と課題にしっかり向き合う

RPA導入に失敗してしまう原因として、これまでになかった業務効率化ツールということで過度に期待してしまい、深く考えずに導入してしまうことが挙げられます。日本ではまだ普及していないこともあり、成功・失敗事例ともに少ないことは仕方がありません。ただし、よくわからないけど海外ではやっているから、大きな成果を上げているという話を聞いたから、という理由だけで飛びつくのは考えもの。実際に導入してみたら思ったような効果が出ないケースも少なくないでしょう。

RPAは画期的なツールであり、うまく使えば大きな効果が期待できます。しかし、それはあくまでも正しく活用することが前提です。自社の課題把握、RPAに対する理解、実際に導入する業務に携わる従業員の協力体制などがそろわなければ、成功する可能性は低くなるばかりです。RPAの導入を検討している企業は、今回ご紹介したよくある失敗例を参考に、自社で業務が滞っている原因を洗い出してみてはいかがでしょうか。

 参考

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