効率化とは違う?今こそ理解したい生産性向上のいろは

生産性向上、という言葉をよく耳にします。生産性を上げる必要があると分かっていても、そのために何をすればいいのか、そもそも「生産性」とは何なのか。説明するのは、案外難しいものです。しかし、昨今よく話題に上がる働き方改革を進めていくためにも、企業が業績を伸ばしていくためにも生産性について理解しておくことは必須といえます。今回は、そもそも生産性とは何なのか、そして生産性を上げるためにはどうしていけばよいのかについてご紹介します。

生産性向上と業務効率化の違い

まず、業務効率化と生産性向上との違いを確認してみましょう。
「業務効率化」とは、決まった仕事をより短時間・低コストで行うことを指し、「生産性向上」とは、作業時間という観点に加えて、その仕事によって生み出される価値の大きさも対象となります。

例えば、マーケティングチーム内で毎週作成する報告資料があるとします。そのうち毎回同じ動作で計算を行うデータがあり、今まで1時間かかっていたものを、マクロを作成し毎回5分で終わるようになったとしたら、これは業務効率化といえます。

一方、上記のマーケティングチーム内での報告資料に使われているデータやグラフが、実は営業チームの提案資料に流用できる内容であることがわかったとします。その際、マーケティングチームが持っているデータを営業チームに共有することで、より説得力があり受注率向上につながる提案資料を作成できれば、これは生産性向上ということができます。

つまり、やっている仕事自体は同じで出来上がるものも同じですが、かかるコストが削減されるようなケースのことを業務効率化といい、全体としてかかる時間は同じにもかかわらず、成約率の向上という新たな価値を出すことができるケースを生産性向上といいます。

業務効率化については、最近話題のRPAツールなど技術の力を借りることで、大きな成果を得られるでしょう。
生産性向上については、複雑な業務内容を把握しそれを改善していく作業ですから、まだまだ人間の力が求められる分野ともいえます。
その生産性向上はどのように成し遂げられるものなのかを、次の章から見ていきます。

生産性を高めるためにはどうすればよいか

みなさんの中には、部内や社内で生産性を高めるよう、求められている方も多いのではないでしょうか。当たり前になってしまっている普段の仕事を見直すのは難しいものです。ここでは、どのような切り口で改善をすると生産性を高められるかをご紹介します。

業務の可視化

何よりも大切なのが、普段の業務を可視化することです。大きな組織になればなるほど、他の部署が何をしているかが分かりにくくなります。前の章で挙げた例でいえば、別部署の人が普段どんな仕事をしているか知らなかったため、せっかく営業にも使えるデータが作られていたのにもかかわらず、それを活用できていませんでした。事例で見ると当然気づくべきことのように思えるかもしれませんが、仕事の中では案外起こりがちなことです。

また、そもそもの業務内容が把握できていなければ、管理職や経営層も有効な打ち手を取ることができません。

特定の従業員にしかわからない作業があったり、エンジニアとして開発することを求められているが実際は1日の半分以上は別の事務作業をせざるを得なかったりといった問題を抱えている場合にも、可視化することで改善の糸口が見えてきます。業務マニュアルを作成してみるところからはじめるのも一案です。

人材の有効活用

人材を適切な場所に配置したり、育成したりすることが該当します。例えば本人が描くキャリアプランに適したポジションに置きモチベーションを高めることで、仕事で成果をあげるようになるでしょう。適切なタイミングで経験を積ませることで、必要なスキルをもったマネージャーへと成長させることもできます。少子化が進行し日本の人口が減少する中で、人材獲得はさらに難しくなっていきます。一人ひとりの持つ能力に着目しそれを伸ばしていくことで、長期的に見れば会社にとって大きなリターンをもたらす投資になります。

現在、会社の意向だけで職務を担わせているポジションはないでしょうか。本人の意向を尊重しながら適した配置をすることが、個人だけでなく会社の生産性向上にも寄与することがあります。

ITサービスの導入

昨今では様々な業務改善向けツールが使われるようになっています。単純に今ある作業を効率化・自動化するRPAツールなどもありますが、一方でそもそもの仕事の形を変えるために使えるサービスもあります。例えばこれまで各拠点間を移動して行なっていた全体会議を、テレビ会議とすることで移動の時間を削減した、といった場合には仕事の形を変えたといえます。

しかし、気をつけなければならないのは、ITサービスはただ単に導入すれば生産性が上がるというものではなく、十分に考慮せず導入した場合には、逆に学習コストがかかってしまうことさえあります。ITサービスを導入するとしても、まず必要なのは、現在ある業務を洗い出し、整理すること。その中で人間が得意なものと、機械が得意なものを分けて考えたり、本当に必要な業務内容を精査したりすることで、ITサービスを有効に活用することができるようになります。

生産性向上の具体的な事例を知る

生産性向上のための考え方を知ったところで、具体的にどのような方法で生産性を向上した企業があるのか、その事例を見ていきましょう。実は政府も生産性向上を重要視しており、取り組みに対して助成金が支給されることもあります。その1つは業務改善助成金といって、コンサルティングを受けたり設備を導入したりすることで生産性を向上し、現場の賃金を向上させた場合に、その改善にかかった費用の一部を補填してもらえるというものです。気になる方はぜひ調べてみてください。

クラウド管理システム導入によって情報共有を効率化

ある放課後等デイサービス施設では、それまで利用者との連絡やスタッフ同士の情報共有を口頭や紙媒体で行なっていました。そのため、紙媒体に情報を起こしたり、配布したりする必要があり、負担が大きくなっていることが課題でした。そこで、クラウド型の業務管理システムを導入し、個人のスマートフォンから利用者への連絡事項を確認できるようにしたところ、情報共有にかかる時間やコストの削減に成功したのです。業務効率化により従業員の時間給を上げることができ、結果として助成金の受給にまで至りました。スタッフの負担を減らしただけではなく、利用者にとっても確実にわかりやすく情報共有がなされることになり、サービスの質も向上しました。クラウドで管理することにより、生産性の向上が成し遂げられています。

店舗改装による配膳時間の短縮

ある飲食店では、客席の配置の都合上、お客さまの背後から配膳をするようになっており、配膳に時間がかかっていました。そこで、座席やテーブルの配置について工夫を施し、結果として配膳時間を半分にすることに成功しました。配膳時間が削減された分、お客さまにより細かなサービスを提供できるようになりました。またこの店舗では、管理の立場にいる人が方針を決定して導入したわけではなく、パート・従業員を含めて社員が一丸となり、労働環境の効果的な改善を行ってきたとのことです。どの従業員も議論に参加できるよう工夫したことで、より現場の目線にあった改革ができたのです。

限られた時間の中で決まった仕事をいかに早く終わらせるかではなく、限られた費用や時間の中でいかに高い成果を出すかを仕組みから考えるのが生産性向上の考え方です。普段の業務で忙しくしていると、なかなか根本的な改善をするのは難しいですが、長い目で見れば負担を減らし、より創造的な仕事に従事できるようになります。これを機に、まずはご自身の職場でどんな業務があるか振り返り、どんな改善が可能か考えてみるのはいかがでしょうか。

 

参考:

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