IDPとは何か?RPAでさらなる業務効率化を実現するための方法

IDPとは何か?RPAでさらなる業務効率化を実現するための方法

バックオフィスの働き方改革実現に向けて注目されているRPAですが、システムを導入することがゴールではなく、あくまでも本来の目的は業務効率化や生産性の向上です。しかし、RPAだけであらゆるバックオフィス業務が効率化できるとは限らず、たとえば手書き書類や紙に印字されたドキュメントのデータ化は人手に頼らざるを得ないこともあるでしょう。

そこで注目されているのが、IDPと呼ばれるものです。今回の記事では、IDPとは何か、RPAとの違いやメリットについても詳しく解説します。

IDPとは?

IDPとは「インテリジェントドキュメントプロセシング(Intelligent Document Processing)」の略称で、「インテリジェントデータキャプチャー」とも呼ばれることがあります。IDPを一言で表すとすれば、「非構造化文書を自動的に構造化データへ変換・処理する仕組み」のことです。

たとえば、従来、書面で発行されていた請求書や納品書などの帳票をシステムへ移行するためには、書類に記載された内容をデジタルデータとして変換しなければなりません。しかし、企業ごとに書類の書き方のルールや書式は異なるほか、書類の種類によってもどこに何が記載されているのかは異なるものです。

このような非構造化文書をデジタル化するためには、OCRのように単に文字を読み取れれば良いというわけではなく、文章や単語の意味を理解することが不可欠と言えます。そのため、書類に記載された内容を正しくデジタルデータ化しシステムへ投入するためには、従来は人が目で見て内容を理解し、手作業によってシステムへ入力しなければなりませんでした。このような膨大な作業を自動化するために生まれたのがIDPです。

IDPとAI‐OCRおよびRPAとの違い

IDPの概要は上記で紹介したとおりですが、「AI-OCRと何が違うのか?」や「RPAのようなもの?」と疑問を抱く方も多いのではないでしょうか。実際にこれらは混同されやすく、それぞれの違いを正確に把握することは簡単ではありません。そこで、IDPとAI-OCR、およびRPAはそれぞれ何が違うのか、分かりやすく解説しましょう。

IDPとAI-OCRの違い

「文章や単語の意味を理解したうえでデジタルデータへ変換する」という意味では、AI-OCRも同様の仕組みを有したシステムと言えます。

日本ではこれまで、「AIを活用したOCR」という意味で「AI-OCR」の呼称が分かりやすく、実際にさまざまな場面で用いられることが多くありました。しかし、日本以外の海外諸国ではAI-OCRではなくIDPという呼称が一般的です。

そのため、日本においてはIDPとAI-OCRは呼称が違うだけで、同等の意味として用いられるケースが多い傾向にあります。なお、AI-OCRについては以下の記事でも詳しく紹介しているため、ぜひ参考にしてみてください。
参考記事「AI-OCRとは?従来のOCRとの比較と代表的な製品・サービス

IDPとRPAの違い

AI-OCR以外に、もうひとつ混同しやすい言葉としてRPAがあります。RPAとは「Robotic Process Automation」の略称であり、PC上で行う定型的な作業を自動化するソフトウェア型ロボットのことを指します。

たとえば、Excelファイル内のデータを引用して請求書を作成したり、メールに記載された品名や金額をExcelへ転記したりする作業を得意としています。RPAの最大の特徴は、ロボットに作業を覚えさせることで複数のアプリケーションを横断的に操作・自動化ができることです。

RPAのひとつの機能としてIDPを組み合わせることは可能ですが、RPAそのものに文書をデジタルデータ化する機能が備わっているわけではないため、両者は根本的に異なる存在と言えます。

IDPがもたらすメリット

では、ここまで紹介してきたRPA導入における課題をクリアし、失敗パターンに陥らないようにするためにはどのような点に注意すべきなのでしょうか。3つのポイントに分けて解説します。

人為的な作業ミスの低減

請求書や契約書などの重要書類を作成する場合、数字や文字のわずかなタイプミスが重大なトラブルに発展することも考えられます。たとえば、取引先や顧客の名称の間違い、請求金額や品目の誤入力など、さまざまなパターンがあり、企業や組織としての信用問題にかかわることもあるでしょう。このような問題を未然に防ぐためには、複数人でのチェック体制を構築するような方法が考えられますが、いずれにしても人が作業・確認する以上はミスを完全にゼロにすることは難しいと言えます。

しかし、IDPを導入することにより、データ入力時の人為的なミスを大幅に低減でき作業の品質を担保できます。また、重要書類の作成時にミスを防ぐため、ダブルチェックに割いていた工数が不要になり、最小限の人数で作業効率化とコストの削減ができます。

さらなる業務効率化

業務効率化のためにRPAは有効なツールと言え、導入する企業の数も年々増加しています。

しかし、たとえば「請求書に記載された合計金額をスプレッドシートへ転記する」という作業があった場合、請求書のフォーマットが同一であればRPAでも対応できますが、フォーマット上の記載位置がバラバラであったり、わずかに異なる文言が記載されていたりすると対応できないこともあるでしょう。

請求書によっては「合計金額」と書かれているものもあれば、「計」や「総計」などのように、表記がわずかに異なることも想定されるためです。このような場合、従来のRPAでは誤った数字を転記してしまう可能性があります。

そこで、IDPとRPAを併用することで、IDPが文字の意味を適切に認識し正しいデータを転記できるほか、従来のRPA単体での運用よりもさらなる業務効率化が期待できます。

手書き文書にも対応できる

RPAの運用にあたっては、文書がデジタルデータ化されていることが前提となります。そのため、もし現在の業務フローのなかで手書き書類での運用が残っていた場合、その部分は人の手によってデータ入力が必要です。

しかし、IDPをRPAと組み合わせて運用すれば、書類に記載された手書き文字を認識しデジタルデータ化することもできるでしょう。「自社ではペーパーレス化の準備が万全に整っているものの、顧客や取引先のなかに従来通りの書類でのやり取りを希望している企業があり、完全にペーパーレス化へ移行できない」と悩んでいる企業においても、IDPとRPAによってペーパーレス化が実現でき、業務効率化やテレワークなどの実現もできるはずです。

IDPとRPAを組み合わせることでさらなる業務効率化を実現

IDPを活用することで、デジタルデータ化されていない文書や帳票類も自動的に読み取り、システムへ取り込むこともできるようになります。

現時点ではペーパーレス化に対応した業務フローが構築できているものの、過去の文書や帳票類がデータ化できておらず、ファイルに書類が残ったままになっている企業も少なくないはずです。そのような場合でも、IDPを導入することで、人手をかけることなくデジタルデータへ移行でき、さらにRPAと連携すれば今以上の業務効率化が期待できるでしょう。

このように、IDPは単体で活用するのではなく、RPAのようなソリューションとうまく連携することでその真価が発揮できるツールとも言えるのです。


参考:

関連記事