これからの企業に求められる「ダイバーシティ」を実現するために必要なこと

グローバル化が叫ばれているなかで、同時に「ダイバーシティ」という言葉も耳にするようになりました。ダイバーシティを打ち出す企業が続々と増えています。今回は、このダイバーシティについて、具体的にどのような意味なのか、詳しく紹介していきます。また、ダイバーシティがもたらすメリットや今後必要なこともあわせて解説します。

ダイバーシティとは?

まず、そもそもダイバーシティとはどのような意味なのでしょうか。ダイバーシティを日本語に直訳すると「多様性」という意味になります。

その名の通り、性別や年齢、学歴、国籍などにとらわれることなく、むしろ多様性を武器にして企業の競争力や価値を上げていく取り組みがダイバーシティに込められた狙いです。一方で、ダイバーシティと聞くと性別や年齢といった属性の違いだけに注目されることが多いのですが、実は正社員や契約社員、在宅勤務といった働き方の多様化もダイバーシティの考え方のひとつといえます。

昨今では慢性的な人材不足に悩む企業が多く、加えて外国人労働者や海外企業との連携などグローバル化が急速に進んでいます。このようなグローバル化への対応策として、ダイバーシティが注目されている背景があります。

ダイバーシティの実現による企業側のメリット

ダイバーシティを実現することによって、どのようなメリットがあるのでしょうか。まずは企業側から見た場合のメリットについて考えていきましょう。

グローバル化にともなう競争に対抗できる

グローバル社会を勝ち抜くうえでダイバーシティは欠かせません。時代とともに社会や個人の価値観は多様化しています。そんななかで、これまでのような旧来の価値観のまま会社を運営していては時代に取り残されてしまうリスクがあります。多様なバックグラウンドをもち、多様な考え方をもった人が集まるからこそ初めてグローバルな企業とも対等に渡り歩いていける会社に成長できるものです。

多様で優秀な人材の確保につながる

ダイバーシティによって多様な人が働いている企業には、互いを認め合いながら成長する風土があります。多角的な視点があるからこそ、物事を俯瞰で見られるような優秀な人材が育ち、そんな企業に入って一緒に仕事をしたいという優秀な人材も集まってきます。画一的なスキルをもった人材が集まって仕事をするよりも、個人の得意なスキルや長所を活かし、反対に苦手な分野は他の人の助けも受けながら仕事を進めていける企業風土が育っていくでしょう。

企業イメージが向上する

数ある企業のなかでもダイバーシティの取り組みを行っている会社はほんの一部です。働き方改革に向けて多くの企業がさまざまな取り組みを行っているなか、ダイバーシティを実現している企業は注目されやすくなります。その結果、働き方改革に積極的な企業としてイメージが向上し、新たに入社を希望する人も増えてくると考えられます。

新規事業へ柔軟な対応が可能になる

これまでに自社で取り組んでこなかった新たな事業を始める場合、自社の従業員だけではスキルやノウハウがないケースも多いものです。ほとんどの場合は外部の業者と連携したり、新たに人材を募集したりといったことが一般的です。しかし、ダイバーシティによって多様な人材が自社に集まっていると、多様なスキルをもった人材を有しているため、自社だけで開発を進めることも可能になります。また、お互いの知見やノウハウを共有することによって新たなアイデアが生まれ、新規事業につながっていく可能性もあります。

ダイバーシティの実現による従業員のメリット

ダイバーシティを進めるうえでメリットがあるのは、企業ばかりではありません。従業員にとってはどのようなメリットがあるのか考えてみましょう。

多様な働き方が実現できる

ダイバーシティは性別や年代などの属性だけではなく、働き方そのものの多様性も認めることです。かつてのサラリーマンといえば、誰しもが出世に憧れ、会社の中のピラミッドを登りつめていくというイメージが根強くありました。しかし、時代とともにそのような価値観は過去のものになりつつあります。長時間労働やハラスメントなどの劣悪な労働環境によって身体を壊してしまう人も多く、出世はせず、むしろ自分にとって働きやすいポジションで能力を活かしていきたいと考える人も増えてきました。

また、かつては結婚や子育てを理由に退職を余儀なくされる女性もいましたが、最近では時短勤務や在宅勤務の拡充によってキャリアの長期形成も可能になっています。

さまざまな人に出会うことで価値観や見方が変わる

人によって考え方や価値観は異なります。これまでの時代は新卒一括採用から定年まで年功序列の終身雇用が当たり前でしたが、現在は時代の移り変わりとともに人材も流動化しています。多様なキャリアを歩んできた人同士が働くことによって、自分自身の価値観やものの見方もアップデートされていきます。

ダイバーシティを実現するために必要なこと

ダイバーシティを実現するためには、具体的にどのようなことを実行すればよいのでしょうか。今回は企業が取り組むべき事柄として、いくつかの事例を紹介していきます。

従業員へ十分な理解を得られるように説明、啓蒙していく

人事制度や社風を変えることは従業員に大きな影響を与えるものです。特にダイバーシティのような先進的な取り組みは、社歴が長い人ほど戸惑ってしまうことも少なくありません。人事制度を変更する場合においては、まずは従業員の理解を得られるように十分な説明をすることが求められます。どのような経緯で変更することになり、今後会社としてどう変化していくのかを説明しないと従業員から反発の声が上がることもあるため注意が必要です。

育児休暇や介護休暇などを充実させる

ダイバーシティの象徴的な事例としては、子育てや介護をする世代への対応です。会社としてダイバーシティを推進すると言葉で表現しても、実体が伴わないのであれば意味がありません。まずは基本的な取り組みとして、育児休暇や介護休暇などの人事制度からスタートする必要があります。

在宅勤務やテレワーク、フレックスなど、柔軟な働き方を取り入れる

育児や介護が必要な特定層のみへの優遇だけでは真のダイバーシティとはいえません。在宅勤務やテレワーク、フレックスタイム制などの制度も拡充することによって、休暇を取るほどではないものの自宅で仕事をしたい人にとって働きやすい環境になるはずです。

ダイバーシティは今後企業に課される大きな課題

グローバル化や人材確保といった観点から、ダイバーシティは欠かすことができない人事制度です。ダイバーシティを推進する際は、会社としてスローガンのように目標を掲げるだけでは達成できません。まずは従業員の理解を得られるように十分な説明をしながら進めていくとともに、さまざまな休暇制度や柔軟な働き方などを取り入れ、できるだけ具体的な施策を実行していく必要があります。

ダイバーシティという言葉だけが先行して、実体が伴わない人事制度となってしまうと、会社としての本気度が伝わってこず逆効果となってしまうこともあります。まずは自社でどのような人事施策が可能なのか、従業員はどのような人事制度を求めているのかを丁寧にヒアリングしながら進めていくことが重要です。

参考:

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