デジタルトランスフォーメーション(DX)の事例に学ぶ、新たなビジネスモデル

デジタルトランスフォーメーション(DX)という言葉を聞いたことがあるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。デジタルトランスフォーメーションは、テクノロジーを活用することで、既存の業務を効率化するだけではなく、そもそもビジネスの形自体を大きく変える力を持っています。では、現在テクノロジーの力で、どのような変革が起こっているのでしょうか。事例と合わせて見ていきましょう。

デジタルトランスフォーメーションとは

デジタルトランスフォーメーションとは、人間の生活に影響を与え進化し続けるテクノロジーであり、結果として人々の生活を良い方向に変化させるものと定義されています。ただこの定義を聞いただけでは、イメージがつかめないのも事実です。デジタルトランスフォーメーションは具体的にどのようなことを指すのか、IT革命と何が違うのか、確認していきましょう。

IT革命との違い

一昔前には、IT革命というフレーズがよく使われました。デジタルトランスフォーメーションとIT革命の違いを一言で言えば、IT革命はデジタルトランスフォーメーションの一部に過ぎない、ということになります。

IT革命はITの力を使って、既存の業務を効率化していくことを指しています。一方でデジタルトランスフォーメーションは、単に既存の業務を効率化するだけではありません。ITを活用して、既存の業務の形自体を変えたり、これまで予想もできなかった全く新しいビジネスの形を生み出したりすることを指します。

デジタルトランスフォーメーション5つのステップ

デジタルトランスフォーメーションには、以下の5つのステップがあると言われています。順番に見ていきましょう。

  • デジタル化

はじめはデジタル技術を導入することから始まります。これまでアナログでやっていたものをデジタルに置き換えることで、データを蓄積していくことができるようになります。

  • 効率化

デジタル化によって蓄積されるようになったデータを、部門ごとに使って効率を上げていく段階です。先に説明したIT革命は、この効率化の段階までを指します。

  • 共通化

蓄積されたデータを、部門内だけでなく、別の部門でも応用できるように基盤を作ります。例えばUberは、はじめに配車サービスを展開しましたが、そこで蓄積されたデータをもとに新たに生まれたのがUber Eatsです。

  • 組織化

別の部門でも応用できるようにした基盤を、より効率的に運用できるようにするのが組織化です。業務が明確になり、またデータに基づいて戦略の決定がなされるようになります。

  • 最適化

最後は、蓄積されたデータを活用し、事業全体に大きな変革を起こすステップです。データを中心にした戦略策定を目指します。

 創造的破壊者による変革

実際にデジタルトランスフォーメーションを行っている企業は多くあります。既存のビジネスを大きく変えたものが多く、創造的破壊者(デジタル・ディスラプター)とも呼ばれます。実際に創造的破壊者と呼ばれるなかには、どのような企業があるのでしょうか。ご存じの企業も含まれるはずです。

Amazon

Amazonは当初、書籍を中心としてインターネット上に店舗を展開していました。そこからユーザー視点でUIにこだわったり、レコメンドのアルゴリズムを工夫したり、カスタマーレビューを充実させたりしたことでユーザーから圧倒的な支持を受けることができるようになりました。今ではご存じのとおり、あらゆる商品を売るオンラインショップに加え、クラウドサービスの展開や会員制サービス、リアル店舗の展開などさまざまな業態を展開し、今でも人々を驚かせ続けています。

Airbnb

旅行者と物件の所有者をマッチングさせる、民泊用のプラットフォームとして誕生したのがAirbnbです。サービス開始当初は誰も予想しなかったことですが、いまでは名だたるホテルチェーンよりも登録部屋数が多くなっています。また当初の業態である民泊にとどまらず、島や城など特別な宿泊の体験や、その土地ならではの体験やグルメとマッチングさせるサービスなど、横展開も進んできました。なんと現在は世界192カ国でサービス展開が行われており、旅行業界のディスラプターといえる存在です。

WeWork

日本にも進出している企業であり、コワーキングスペースやシェアオフィスなどを展開しています。ビジネスを開始するにあたって必要な設備があらかじめ整えられているため、すぐに事業を開始したいスタートアップや、働き方改革や事業拡大などの文脈でサテライトオフィスを設けたい企業などに重宝されています。人が集まる場所を作ることで、そこで新たな価値が生まれるという構造が生まれています。

日本の大企業でも進むデジタルトランスフォーメーション

既存のビジネスの形を大きく変えるデジタルトランスフォーメーションですが、先述した外国の企業ばかりで展開されているわけではありません。日本国内の、それも何十年も続いてきた伝統のある大企業においても、デジタルトランスフォーメーションは進められています。事例を見ていきましょう。

コマツ

IoT技術を活用したICT建機を用いて、スマートコンストラクションを展開しています。例えば建機にカメラやセンサーを取り付けることでデータを収集し、それを解析することで新たなサービス開発に必要なデータを作成しています。IoTということで、建機をネットにつなげるのはもちろんですがそれだけではなく、工事現場を丸ごとデジタル化することで、最終的には無人の工事現場を目指しているようです。

確かに工事現場は、労働集約型を象徴する職場といえそうです。そんな環境でも、着実にデジタルトランスフォーメーションが進められています。

ヤンマー

発動機などが中心商品であるヤンマーでも、デジタルトランスフォーメーションが進められています。遠隔で監視する技術を、農機や建機に導入しています。無人ヘリとドローンを組み合わせることで、農作業にまつわるさまざまなデータを取得し、それを分析して効率化を図ります。農作業は現在でも人の手に頼るところが多いですが、データを収集できるようになれば、全体を俯瞰して効率を上げられるようになります。

ヤンマーでは、これまでのようなB2Bビジネスから、B2B2Cへとビジネスモデルを変えていくようです。さらに、すべての機械にIoT機器を取り付けることでデータを集め、マシンを通じて利用者と直接関わることができるB2B2M2Cというモデルへの変革まで見据えています。

トヨタ自動車

自動車業界の圧倒的な巨大プレイヤーであるトヨタ自動車も、大きな変革を起こしています。これまで自動車というハードウェアだけを売っていた同社ですが、現在ではトヨタ車に月額定額で乗ることのできるサブスクリプションサービスを展開したり、自動運転向けのソフトウェアを開発したりと、そのビジネスモデルを大きく変えています。

またカーシェアのようなサービスとしての移動体験を直接顧客に売るのではなく、そういったサービスを展開する事業者に対して、同社の技術力を用いた自動運転車とその利用基盤を展開するという、B2Bビジネスにも活路を見出しており、すでに他企業との提携も開始しています。

情報処理技術の進化が当たり前を変えていく

少し前には当たり前だと思われていたことが、情報処理技術の進化によって大きく変わり、新しいビジネスモデルを生み出してきています。伝統のある企業ですら、その波に乗ってビジネスのやり方を変えてきています。これからどのような変革が起こるのか、注目していきましょう。

参考:

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