意外な組み合わせが大きな売上を生む?統計解析だけではわからないデータマイニングによる情報分析

ITの進化により私たちは多くの業務効率化を実現しています。また、単なる業務効率化ではなく、以前であれば難しかった分析や解析も可能になりました。データマイニングも分析法のひとつで、大量のデータのなかから有用なデータを見つけ出す技術です。では、データマイニングには具体的にどういった効果があるのでしょう? データを扱うという意味では統計学と同じという見方もできますが、データマイニングと従来の統計解析ではどういった違いがあるのでしょうか。データマイニングについて、概要、統計解析との違い、ビジネスでの活用方法などを考察します。

従来は困難であった相関関係を発掘するデータマイニング

マイニングは日本語で「発掘する」という意味を持つ言葉です。データマイニングとは、大量のデータのなかから、従来の手法では見つけることのできなかった法則性や相関関係を発掘すること。発掘した結果を、マーケティングや営業戦略に活用していきます。

たとえば、雨が降れば傘が売れるということは、わざわざデータを収集、分析しなくても予測可能です。しかし、クレジットカードの利用履歴、SNSでの発言といったデータを収集していくなかで、例えば、「傘が売れる日は洗剤の売上も高い」といったことを発掘できる場合があります。この、一見すると何の相関関係もなさそうな情報を用いて、傘売り場の隣に洗剤を置くことで売上アップをねらう戦略を立てられます。これがデータマイニングを活用したマーケティングの一例です。

こうした手法が可能になった背景には、インターネットの普及による情報量の増加と、大量のデータを高速処理するためのハードウェアや技術の進化があります。これらにより、以前は目にすることができなかったデータが可視化されるようになりました。また、データの処理時間も格段に高速化されたことで、多くの企業で比較的容易にデータマイニングを実行することが可能になったのです。

「仮説」がキーポイント。データマイニングと統計解析の違い

大量のデータを扱うという点では、統計解析と同じと思えるかもしれません。確かに統計学でも大量のデータを扱います。データをマーケティングや営業戦略に活用していく点も同様です。しかし、実際にはデータマイニングと統計解析には、大きく異なる点があります。キーポイントは「仮説」です。

先述したように、データマイニングは、大量のデータから法則性や相関関係を発掘することを目的としています。発掘した結果を見ながら仮説を立てていきますが、データマイニングをしている時点では、仮説は存在しません。

一方で統計解析では、まず仮説を立て、それを実証するために分析を行います。つまり仮説の検証が統計解析の主な目的です。このことから、データマイニングは、仮説を見つけ出すための作業であり、統計解析は、仮説を検証するための作業であるといえます。

データマイニングをビジネスで活用する方法

実際にデータマイニングを、マーケティングや営業戦略などビジネスで活用する方法について紹介します。まず、データマイニングをビジネスに活用することのメリットについて見ていきましょう。

  • 在庫・販売管理がしやすくなる

データマイニングは、工夫次第でさまざまな業種で活用可能ですが、そのなかでも相性が良いのが小売業です。天候、気温、イベントといった条件のなかで、どの商品がどういった条件下で売れるのかといった法則性、どんな商品とセットで売れるのかといった相関関係を発掘することで、在庫、販売管理がしやすくなります。

  • さまざまなシステムの保守管理がしやすくなる

データマイニングは、システム機器やサーバーなどの保守管理も容易にします。さまざまな気候条件のなかで、どういった状況のときに一番故障が多いか、またどういった故障が多いかといった法則性や相関関係を見つけます。その結果、保守管理の手間が軽減され、あらかじめ故障の予測が立てられるようになり、リスク管理が可能になるのです。

次に、実際にこれらのメリットを生かし、ビジネスに活用していく方法を紹介します。もっとも効果的な活用場面は、日々の在庫調整や売り場のレイアウト変更です。さまざまな気候条件に応じて変わる売れ筋商品の仕入れ数を調整し、廃棄物や長期在庫のリスクを軽減することができます。また、併売できる組み合わせを発掘し、売り場のレイアウトに反映させることで、売上アップを実現させることも可能です。

ほかの活用方法としては、システム機器やサーバーの保守管理の際、事前に故障しやすい時期や箇所の予測をして、メンテナンスの日程調整や故障の可能性が高い部品の在庫確保を行うことが挙げられます。これにより、管理者の手間と故障リスクの軽減が可能です。

データマイニングのビジネス活用でもっとも重要なポイントは、顧客一人ひとりのLTV(ライフタイムバリュー)の向上です。データマイニングを可能にしたのは、インターネットの普及やデータ処理時間の高速化であることは先述のとおりです。これは言い換えると、これまで群でしか見ることができなかった顧客一人ひとりの顔が見えるようになったということなのです。

顧客の購入履歴、クレジットカードの利用履歴はもちろん、好み、購買頻度といったデータも大量に収集することで、一人ひとりに最適なレコメンデーションができるようになります。また顧客の好みに応じた新製品のアイデアも得られるようになり、顧客満足度は大きく向上します。より顧客に寄り添ったマーケティングが実現、顧客と長期的な関係性を構築でき、LTV向上に大きく貢献できるようになるでしょう。

データマイニングと統計解析を組み合わせることで新たなビジネスチャンスを

データマイニングを説明する際、よく紹介される有名な事例として「おむつとビール」があります。男性がおむつを買う役を担っているアメリカで、おむつを買うついでにビールが買われる傾向があることが判明、おむつとビールを並べて販売して売上が増えたという事例です。

実際にはこうした意外な組み合わせは、気づいていないだけで数多くあるかもしれません。しかし、それら一つひとつに対し、仮説を立てデータを見ながら検証していくとなると、大変な手間と時間を要します。データマイニングはその手間と時間を省き、予測が難しい売上の法則性や相関関係を発掘する手法です。

もちろん、統計解析は不要ということではありません。それぞれ得意とする分野が異なるのです。たとえば、小売業では、天候やイベントごとに、過去のデータから当日の売上予測を行い、予測に合わせて販売員の出勤調整を行います。この場合、データマイニングではなく統計解析が向いているでしょう。

おむつとビールの事例のように、売り場のレイアウトを変えるのは、データマイニングで得られた結果がもとになります。このように、用途に応じてデータマイニングと統計解析を使い分けることで、業務効率化に加え、新たなマーケティング、営業戦略の立案につながっていくのです。

 

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