ビッグデータが注目されている理由とは?社会への活用でどのように変わる?

ここ数年、「ビッグデータ」という言葉を耳にする機会が増えてきました。なんとなく「大量のデータ」という意味だと認識している人も多いですが、実はビッグデータには明確な定義が存在しています。そして、私たちの生活の中にもビッグデータは存在しており、AIの進化においても欠かせないものです。

今回は、ビッグデータの定義を解説するとともに、活用事例や現在注目されている理由を詳しく紹介していきます。

ビッグデータとは?

前述したように、ビッグデータという単語を聞くと、単に「大量のデータ」といった意味を想像する方も多いでしょう。確かにこれは間違いではないですが、ビッグデータとは厳密に定義すると以下の3つの要素が重要となります。以下の3つの要素のうち、いずれかひとつでも欠けているとビッグデータとは言えません。なぜこれが必要であるのかも含めて、それぞれのポイントを詳しく見ていきます。

ボリューム(Volume)

ビッグデータという名前の通り、データの量(ボリューム)は重要な要素です。そもそもデータ量が少ないということは、サンプルが少ないということでもあり、正確な傾向分析につなげられません。

種類(Variety)

単にデータ量が多くても、似たような種類のデータばかりが集まっていてはサンプルの意味がなくなってしまいます。多様な種類のデータがあり、それを分析することによって初めて傾向が見えてきます。

発生・更新頻度(Velocity)

種類が豊富で大量のデータがあったとしても、発生頻度が低いと正確な傾向をつかめないこともあります。長期の時系列上でデータが散布していると、年代や時間が経過するとともに傾向が変化してくることもあり、正確なデータとは言えないこともあります。

ビッグデータの活用事例

3つの要素を満たしたビッグデータにはさまざまな活用方法があり、あらゆる業界で注目を集めています。ビッグデータにはどのような活用事例があるのか、いくつかの事例を紹介します。いずれの事例も私たちの生活において身近なものばかりです。

携帯電話のサービスエリア拡充

大手携帯電話キャリアではサービスエリア拡充にビッグデータを役立てています。自社の携帯電話利用中のユーザーから電波状況の弱いポイントを申告してもらう際に、位置情報と電波状態を一緒に送信してもらいます。専用のスマートフォンアプリを利用することでユーザーの負担は軽減され、キャリア側も効率的にエリア状況を把握できます。全国から届いた電波状況をビッグデータとして集約し、クレーム件数が多い場所から優先的に改善していくことで効率的なエリア拡充につなげています。

カーナビを使った渋滞の緩和

カーナビゲーションシステムは位置情報と走行速度などを定期的に共有することで、渋滞の起こっている場所を特定します。目的地までのルートの中に渋滞が起こっているポイントがあった場合は、ほかのルートへ迂回した場合の到着時刻を予測します。そこで渋滞が発生しているルートよりも早く到着できると判断した場合、渋滞を回避するためにカーナビがルートを随時変更する機能が搭載されています。

コンビニの出店計画

コンビニエンスストアの大手チェーンでは新たにコンビニを出店する際、立地条件から出店可否を判断するため、現在出店しているエリアの人口や交通量、店舗の規模などをビッグデータとして収集しています。出店に最適な立地条件をビッグデータから割り出すことで、人間の勘や予測よりも正確な判断をすることが可能になりました。

自動販売機の商品配置

大手飲料メーカーの自動販売機では、ユーザーが商品を購入する際、視線を移すポイントをビッグデータで収集しています。これによって効率的な商品配置を選定し、またパッケージデザインの工夫によって売り上げもアップしました。

ビッグデータが注目されている理由

ビッグデータは、ボリューム・種類・発生頻度という3つの定義があるとはいえ、元を辿ればただの数字の羅列であることに違いはありません。にもかかわらず、なぜここ数年の間にビッグデータは注目されるようになったのでしょうか。

ビッグデータとAIの発展

ビッグデータが注目されるようになった背景にはAIの発展があります。当然、ビッグデータのような大量のデータを用いた統計や分析はこれまでも行われてきましたが、手動で集計され、人間の頭脳による分析でしかなかったため効率的とは言えず、高度な分析はできませんでした。しかし、AIを活用することによって膨大なビッグデータのなかから瞬時に分析結果を導き出すことが可能になりました。これによって、人間の手による従来の分析とは比べ物にならないほど高い精度のデータ分析ができるようになったのです。

AIの精度はビッグデータの質によって左右されるといっても過言ではありません。コンピューターは自らの意思で判断することはできないため、少なくとも根拠となるデータが必要です。判断の根拠となるビッグデータが多ければ多いほど、AIの精度は増していきます。

AIは頭脳、ビッグデータは経験・知識

コンピューターの世界ではハードウェアとソフトウェアはどちらも重要な存在です。AIとは高性能なハードウェアであると認識している人も少なくありませんが、ハードウェアだけが進化しても、中身であるソフトウェアがなければ意味を成しません。

AIの発展において、高性能なハードウェアは処理能力に関わるための重要な要素のひとつですが、中身となるソフトウェアやデータはハードウェアと同じくらいに重要な役割を果たします。パソコンのスペックを紹介するとき、CPUは頭脳と例えられることが多いですが、AIもまた人間の頭脳に相当する部分と言えるでしょう。そしてビッグデータは、人間が持っている経験や知識に相当します。

人間の頭脳とコンピューターでは処理能力に圧倒的な差があります。人間が記憶できる知識量には限界がありますが、コンピューターは容量を拡張すれば無限にデータを格納することができます。世の中のあらゆる事柄がデータ化され、それを自由自在に扱うことができるようになると、人間の知能をはるかに超越したAIが完成するのは明白です。

ビッグデータによってどのように社会は変わる?

2015年、Googleが開発したAlphaGoと呼ばれるAIが、囲碁でプロ棋士に勝利したというニュースが話題になりました。このとき、AIはプロ棋士でも理解できない一手を打ち、後半になって逆転勝利を収めました。

ビッグデータの背景には必ずAIやコンピューターの存在があるものです。ビッグデータが広く収集され、AIが進化し続けていくと、囲碁の勝負でもあったように人間には一見理解できない高度な結論がAIから導き出されることも考えられます。現在社会が抱えている多くの問題が、AIによって解決できる未来がやってくるとされていますが、そのためにはあらゆる分野のビッグデータが必要不可欠な存在となります。

 

参考:

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