ビッグデータ、IoT、AIをビジネスで活用するためのポイント

インターネットの普及は、膨大なデータをあまり大きなコストをかけずに収集することを可能にしました。IoTの普及により、そうして得られる情報は量・質ともに新たな段階に入っているといえるでしょう。集積されたデータはビッグデータとしてさまざまな用途に活用されますが、データの分析に際してもAIという進化した技術が活躍しています。

しかし、ここで注意しておきたいのは、私たちは本当にこれらのデータを効果的に活用できているのか、という点です。今回はビッグデータ、IoT、AIそれぞれの役割と活用のポイント、さらに上手に活用するための注意点について考察していきます。

ビッグデータ、IoT、AIそれぞれの概要

近年さまざまな分野で活用されているビッグデータ、IoT、そしてAI。これらの関連性を知る前に、まずはそれぞれの概要についておさえておきましょう。

ビッグデータ

直訳すれば「大量のデータ」となりますが、ビッグデータのビッグは必ずしも「大量」だけを意味するものではありません。具体的には電子メールやWeb上のログ、ビデオ、RFIDタグ、センサー、スマートメーターなどから24時間365日収集される、あらゆる種類のデータの集積がビッグデータなのです。

ビッグデータという言葉が使われるようになる前からも、大量のデータを収集・分析することは当たり前に行われていました。しかし、現在はSNSや動画共有サイトの普及、IoTによる家電、デジタル製品からの情報収集が実現するなど、これまでは収集が難しかった情報やデータをあらゆる場所からリアルタイムで入手することも可能になっています。

また、後述するディープラーニングを用いたAIによる情報分析技術が進化したことで、企業が必要な大量のデータを瞬時に収集・分析できるようになりました。これにより、以前であれば収集・分析できない、もしくは収集できても分析に多大なコストがかかっていたものが、比較的低コストで実現可能になったこともあり、ビッグデータという言葉も一般的に普及するようになったのです。

IoT

IoTとはInternet of Thingsの略で、日本語では「モノのインターネット」と訳されます。インターネットといえば、パソコンやスマートフォンで利用するものといったイメージがありますが、IoTはそれだけにとどまらず、冷蔵庫や電子レンジといった白物家電、デジタルカメラ、デジタルビデオ、スマートスピーカーといった情報家電など、あらゆる機器をインターネットに接続するという概念です。

このような機器からの情報がインターネットを介して入手・利用可能になることは、企業がユーザのニーズをより詳しく収集できたり、新しいサービスを開発する手がかりになったりします。たとえば、自分好みのレシピを電子レンジに記憶させたり、常備している食料品が冷蔵庫になくなった際にスマートフォンに通知を入れたりといったことも可能です。

消費者向けだけでなく、産業用途でもIoTは活用されています。工場で機械にセンサーをつけ、稼働時間や温度、微振動などのデータを収集しネットワークを通じて送信することで、事前にトラブルを回避する「予知保全」といった技術も実現されています。

AI

AIとはArtificial Intelligenceの略で、日本語では「人工知能」と訳されます。具体的には人工的につくられた人間に近い知能を意味するもので、大きく2種類に分類できます。

1つが画像認識や自動運転技術など単一の技術に特化した「特化型人工知能」、もう一方が与えられたさまざまな情報をもとに人間に近い判断を行う「汎用型人工知能」です。また、自分で考えて行動するAIを「強いAI」、与えられた情報を分析して処理するのみのものを「弱いAI」と呼ぶこともあります。

ちなみに、AI=機械学習、あるいはディープラーニングと混同されることも少なくありません。これらはAIに含まれるものであり、先述した「強いAI」を実現するために必要な技術です。機械学習は与えられたデータからパターンを学習し、新しいデータもその基準に従って判断できる、というものです。ディープラーニングはそれをより高度化したもので、人間の脳の仕組みを模したニューラルネットワークを使ってAIが自ら学習し、データを判断していくものです。

ビッグデータ、IoT、AIの関連性

ビッグデータ、IoT、AI、それぞれの概要をおさらいしたところで、次はこの3つにどういった関連性があるのか見ていきましょう。

まず、ビッグデータとIoTの関連性ですが、IoTはビッグデータを構成する重要なデータソースの1つといえます。ビッグデータの概要で触れたように、ビッグデータは大量であるだけではなく、さまざまな種類のデータを収集することで成り立ちます。こうしたデータは大きく「構造化データ」、「非構造化データ」、「IoTデータ」の3つに分類できます。

「構造化データ」とは顧客名や電話番号、住所など形が決まっているデータです。

「非構造化データ」とはTwitterやFacebook、InstagramなどSNSへの投稿、YouTubeやVimeo、TikTokといった動画、メールなど形状が決まっていないデータのことです。言い換えれば、コンピュータが読み込む形に構造化されたものと、人間が取り扱うそのままの情報として構造化されていないデータといえるでしょう。

そして、もう1つがIoTによって収集されるデータです。こちらは半構造化データと呼ばれたり、非構造化データに含まれたりもします。商品に取り付けられるICタグ、ショッピングカートに取り付けられる位置センサーなどから顧客の行動パターンやデータを収集します。これらを統合したものがビッグデータとなるのです。

次に、IoTを含むビッグデータとAIの関連性ですが、そもそもビッグデータを収集する目的は、集めたデータを分析し、マーケティングや製品企画などの企業活動に生かすことです。さまざまな場所から集められた大量のデータを人間の手だけで分析するには、多大な手間とコストがかかります。そこで活用できるのがAIです。

AIは機械学習やディープラーニングにより、自動でデータの分析や分類をするため、人的コストを抑えることが可能です。特にこれまで収集が難しかったさまざまなモノから得られるデータ、いわゆるIoTのデータも単に収集するだけでは意味がありません。これをAIにより分析することで、新たなサービスや製品開発の道も開けるのです。

このようにビッグデータとIoT、AIは密接に関連していて、企業活動を行っていくうえでどれも欠かせない要素の1つとなっています。

ビジネスにおけるビッグデータ、IoT、AIの活用方法と問題点

ビッグデータとIoT、AIをビジネスに活用した具体例として、スーパーでの顧客行動を商品陳列に生かすといったことがあります。ショッピングカートに位置センサーを取り付け、顧客の行動データを収集します。たとえば、お米を買った顧客がついで買いをする商品で一番多いものは何かを調べます。その収集結果をAIで分析し、もっとも多かったものをお米の隣に陳列することで、さらなるついで買い需要を喚起させるといったことが可能になるのです。

また、授業の様子をライブカメラで撮影し、生徒の集中力が途切れる時間帯、授業内容を調査して、これをAIで分析する学習塾があります。分析結果によって、集中力が途切れそうになる時間帯にクイズやゲームといった遊び要素があるものを取り入れる、授業内容も動画や音楽を使い、集中力を持続させられるようにするといった改革を行うことができるのです。

ただし、問題点も少なからず存在します。そのなかでも大きいのは、ビッグデータを収集すること自体を目的としてしまうことです。ビッグデータを収集する最大の目的は、収集したデータを分析し実際の企業活動でより良い施策を打っていくことです。大量のデータを収集しさえすれば、おのずと良い結果がついてくる、といったものではありません。もしかすると、ビッグデータではなく“スモールデータ”の分析であっても目的とする分析結果を得られた、という場合もありえるでしょう。

IoTの発達によって、これまで収集が難しいといわれていたさまざまなデータが収集できるようになりました。しかし、何の目的もなくIoTによってデータを大量に収集しても、「雨の日には傘が売れる」といった当たり前の結論しか得られないケースも考えられます。

そして、目的や目標が明確でなければ、どんなに分析技術に優れたAIであってもその技術を最大限に生かすことはできないでしょう。ビッグデータもIoTもAIも、使う側のヴィジョンが定まっていなければ、多大な手間とコストをかけてもビジネスでの結果に結びつかなくなってしまうのです。

収集したデータをどう扱うか、何のために収集するかを決めることが重要

顧客の行動を読み取り、より自社製品の購入につなげるためにはできるだけ多くの情報が必要です。この考え方はもちろん間違いではありませんが、唯一絶対の正解であるともいえません。なぜなら、明確な目的もなく大量のデータを収集してもそれが解決に結び付くかどうかわからないからです。

現在、技術の進化により、さまざまなデータを収集、分析するハードルは下がっています。しかし、そこからどういった答えを得るかは人間が考えることであり、ツールやシステムの役割はその補完に過ぎません。まずはゴールを決めて、そのためにどういったデータや分析が必要なのかを検討していくことが重要であり、今回ご紹介した技術を最大限に生かす鍵でもあるといえるでしょう。

 

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